エスペランサSCと「1番」を目指す同士

株式会社三春情報センター(ミック) 代表取締役社長 春木 磨碑露さん

(エスペランサSC スポンサー) エスペランサSCのスポンサーとして、長年に渡りクラブを支えている株式会社三春情報センター(ミック)は同じ横浜市栄区に拠点を構え、不動産業を軸に多角的に事業展開を進めているグループ企業だ。エスペランサSCとは共同で運動大会を企画するなど、資金面以外での関わり合いも深く、クラブにとってなくてはなくてはならないスポンサー企業となっている。そんなミックがエスペランサSCに協力するきっかけは、とてもユニークなものだった。


「社長に会わせてくれたら家を買うよ」


2013年、エスペランサSCのコーチを務めているグスタボ氏の当時の自宅にミックの社員が営業に訪れた際に、同氏はそう投げかけたという。その2週間後、ミックの春木磨碑露社長は「社長に会わせると約束したので」と話す社員の要請に応じ、グスタボ氏と直接会ったが、その後グスタボ氏がミックから不動産を購入して約束を果たしたことを春木社長が知ったのは、ミックがエスペランサSCのスポンサーとなって3年後のことだった。

左からミックの春木社長とエスペランサSCのグスタボコーチ

 ミックがエスペランサのスポンサーになったのは、グスタボ氏の父親でありチームの監督であるホルヘ・アルベルト・オルテガ氏の言葉に、春木社長が強く共感したからだ。グスタボ氏とともに株式会社三春情報センターのオフィスに来社したオルテガ監督は、日本語で「一番(を目指す)」とクラブの構想を熱く語り、春木社長と意気投合した。出会いの瞬間である。同じ栄区を拠点とする企業で2030年に神奈川県で「1番」に、更に日本・世界で「一番」の企業になるという経営目標を掲げる春木社長の考えとオルテガ監督の想いが重なったのだ。「富士山は知っていても2番目に日本で高い山は誰も知らないように、1番を目指さない会社は潰れてしまう。経営者は自社の社員やその家族の生活を守らなければならない」その責任を強く感じている春木社長にとって、トップを目指すことは生きるために真剣に自分を磨くためのマインドセットだ。海外で2年ほど旅をした経験を持つ春木社長は、「海外生活で覚える異国の言葉は日常会話で使う挨拶などが中心だった。1番という言葉を覚えるのはよっぽどのことだ」と当時の自身の経験を振り返り、オルテガ監督のことを「本気でやっている人だ」と強く感じたという。そしてミックは創業以来、初めてスポーツチームのスポンサーとなったのだった。


 その後、様々なスポーツチームが同社に支援を求めて営業に訪れたが、2021年10月現在もミックがスポンサーをしているのはエスペランサのみだ。サッカーのことは「全くわからない」と話す春木社長には、ユニークなエピソードがある。みなとみらいにあるランドマークタワー内のフィットネスクラブで春木社長がトレーニングをしていた時、隣で掛け声をあげながらトレーニングする外国人がいた。受付から「隣にいたのは大変有名なサッカー選手ですよ」と言われたその隣にいた外国人が、なんと日本で行われたクラブワールドカップのために当時バルセロナの一員として来日していたリオネル・メッシ選手だったのだ!後で知ったがその時は全くわからなかったという。エスペランサSCをミックが応援するのは「志に共感したから」だが不思議な巡り合わせを感じる。


 「我々はボランティアでやっているわけではない。」エスペランサSCのスポンサーとなることでミックは本業においてもメリットがあることを春木社長は強調する。本郷台キリスト教会に通う人々から、エスペランサSCのスポンサー企業であるミックから家を買いたいと連絡が来て不動産事業の売上増につながっているという。また、同社は弁当の販売などの食料品等販売業も手掛けておりエスペランサSCの試合の時などに弁当の発注があるなどWin-Winの関係性が構築できており、営業面でのプラスにもつながっている。

野七里グラウンド オルテガ監督のビジョンを実現してチームのグラウンドに

 春木社長は2012年にミックの社長に就任して以来、新事業の立上げなどを行い、就任時は売上30億だった会社の売上を9年で80億に拡大させるなど実績を上げてきた。新事業の立上げについて「躊躇して良いことがなかった」と、春木社長は話しており、失敗してもやりきる姿勢の大事さを自社の社員に伝えているという。挑戦し続けることで社員一人一人の成長につなげていると解釈できるだろう。春木社長のブレない姿勢は、オルテガ監督と似ていると息子グスタボ氏が話す通り、オルテガ監督もまた、エスペランサSCを立ち上げてまだ本郷台キリスト教会の駐車場で練習をしていたころから、現在の野七里グラウンドがチームのグラウンドになるというビジョンを実現し、Jリーグ入りに手の届くところまでチームも成長してきた。その2人の共通点はお互いに1番に向けて挑戦する同士に映った。「絶対できる!」という気持ちは、周りの人々をとても勇気づけるパワーを持っていると感じる。

 次回は、エスペランサSCトップチームに所属する江川真矢選手に話を伺います。

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