チームを支える屋台骨再び 「2つのクラブ運営に携わって」

エスペランサSC オルテガ株式会社 専務取締役 宮﨑亮さん


 2020年にエスペランサSC運営会社役員となった宮﨑亮さんは、まさにクラブの縁の下の力持ちというべき存在だ。チームのフロントとして、チーム情報を精力的に発信し、クラブを支える関係者との折衝や資金繰りに奔走している。チームに合流して1年で強い存在感を示しており、オルテガ監督をはじめチーム関係者が現場に注力できているのは、宮﨑さんのバックアップによるものだといっても過言ではないだろう。1978年に開催されたアルゼンチンW杯の決勝戦で大活躍した同国の代表マリオ・ケンペスのプレイに魅了されてから、今でもずっとサッカーが好きだと話す宮﨑さんにとって、アルゼンチン代表の経験を持つオルテガ氏が監督を務めるエスペランサで活動するのは運命だったのかもしれない。


エスペランサSC オルテガ株式会社 専務取締役 宮﨑亮さん

 宮﨑さんがフロントとしてサッカークラブに関わるのはエスペランサが初めてではない。1998年、当時Jリーグに存在していた横浜フリューゲルスが事実上の消滅となり、チームの存続を訴えた知人に協力をしていた縁から、横浜FC(2021年現在、J1リーグ所属)の創立メンバーとしてチームのフロントに携わることになったのだ。宮﨑さんは、サッカーの名門クラブ「FCバルセロナ」などで取り入れられているファンクラブ組織「ソシオ」(スペイン語で会員の意味)の仕組みを取り入れるなどの斬新な試みで、チーム立ち上げから間もなかった当時の横浜FCの屋台骨を支えた。保土ヶ谷グラウンドでの試合には3000人ものファンが応援に駆け付ける熱気があったという。再出発のチームのJFL優勝を実現した立役者の1人である。そんな宮崎さんがエスペランサSCに関わることになったのは、チームのフロントとして活動する6年前の2014年だった。


「初めはエスペランサに通う子供の保護者でした。」


 宮﨑さんはエスペランサと自身の当初の関係をそう振り返る。同年の秋、宮﨑さんは本業である不動産業の関係で数年間滞在していたバルセロナを後にし、帰国した。サッカーの本場であるスペインで育ち、活躍した子供たちの父として宮崎さんは、同じくサッカー強国でありスペイン語圏のアルゼンチン出身のオルテガ監督が指導するエスペランサを、以前から注目していた。チームの見学に訪れたところ、オルテガ氏らから是非セレクションを受けないかと声をかけられ、子供たちはエスペランサに通うことになった。それからの6年間は、保護者という立場からエスペランサSCを見守る立場だった。


野七里グラウンド はじめは保護者として、グラウンドに通う子供たちとエスペランサを見守っていた

 宮﨑さんとエスペランサとの関係に変化が訪れたのは2020年11月頃、オルテガ氏の息子でエスペランサSCのコーチを務めるグスタボ氏と深く話す機会があったことがきっかけだった。宮﨑さんのかつての横浜FCでの経験を知ったグスタボコーチから、「僕たちは本気でJリーグに行きたいと思っている。でも、チームには現場のスタッフしかおらずフロントスタッフが全くいない。是非一緒にやってもらえませんか?」と声をかけられたのだという。宮﨑さんにとって、エスペランサに通う子供たちを通じて様々な出会いがあり、愛着のあるクラブとなっていた。「皆のためにも、受け皿になるこのチームを大きくしたい。」宮﨑さんはそんな想いで、グスタボ氏からの誘いを引き受けフロントとしてチームを支えることを決めた。 

 

 宮﨑さんは、エスペランサについてオルテガ監督が自分の信じているアルゼンチンのサッカーをそのまま子供たちに伝えることで日本の文化と混ざり合い、ハイブリッドなサッカーができていると表現する。アルゼンチンサッカーの「戦うスピリッツ」と、日本人の「真面目に取り組む熱心さ」がうまく融合しており、同監督のアルゼンチンのサッカーを子供たちに体得してもらいたいという想いは、保護者としても本当にありがたいことだという。そして、同監督のそんな取り組みは「アルゼンチン国内でももっと知られて良いはず」であり、エスペランサSCがより強く大きくなっていくのは、「神奈川のサッカーにとっても良いことで多様性を排除しない社会になってほしい」と宮﨑さんは話している。


左からオルテガ監督、宮﨑さん、グスタボコーチ

 横浜FCでチーム運営に携わった頃は、立上げまでの経緯や当時の時代背景から資金調達などの見通しを立てやすかった一方で、様々な関係者がいることから利害調整に苦労したと宮﨑さんは当時を振り返る。サッカーが好きで関わることになったが、サッカーチームの中に飛び込んでやるものではないとも感じたという。しかし、宮﨑さんはエスペランサと出会い、長い期間を関係者と共に過ごすことで、チームのフロントとして再びサッカーチームに深く関わることを決めた。資金調達という面では横浜FC時代より難しくとも、オルテガ監督やグスタボコーチなどのオルテガ一家や、本郷台キリスト教会をはじめとしたエスペランサの関係者は善意の人々であり、完全に信頼できる人々だという想いからだ。宮﨑さんは、今のエスペランサを支えるスポンサーをはじめとした関係者が「横でつながるチームができたら」と今後の展望を語る一方、過去の経験からエスペランサSCがJリーグに昇格した時は、地域との関わりなどの利害の調整が必要になってくるであろうことを予測しており、今のエスペランサの特色を生かしたままうまくコーディネートしていくのが自身の仕事になるだろうと今後を見据えている。


 次回は、そんなエスペランサをスポンサーとして支える株式会社三春情報センター(MIC)代表取締役社長春木氏に話を伺う。


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